削除代行業者の非弁リスク|依頼前に知る4つの落とし穴と返金の可否

ネットトラブルの削除代行業者の非弁リスク|弁護士法との関係・依頼前の確認点・支払った費用の扱いを解説するインフォグラフィック

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結論削除代行業者への依頼は、弁護士法72条が禁じる非弁行為に当たると判断され、契約が無効とされた裁判例があります。書き込みを消したいだけの段階でも、自分で削除依頼を出すか、弁護士に相談するかを先に検討するほうが安全です。

「ネットで見つけた業者に頼んだけれど、消えないまま連絡が途絶えた」。削除代行業者の相談で、いちばん多いのがこの状況です。急いで消したい一心で契約して、あとから「この会社に頼んでよかったのだろうか」と不安になって調べ始める。そういう順番になってしまうのが、この分野の難しいところです。

この記事では、削除代行業者に依頼すると何が起きるのかを、弁護士法72条の要件・実際に争われた裁判例・費用の扱いという観点から整理します。まだ依頼していない方には契約前の判断材料を、すでに依頼してしまった方には返金を含めた立て直しの手順をお伝えします。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

私は法律の専門家ではなく、「どこに相談すればいいか分からない」まま抱え込んでしまう人のために、相談先の選び方をまとめている立場です。削除代行業者は、広告が上手で、いちばん最初に目に入ります。だからこそ「頼んでしまった人を責めない」ことを前提に書きました。法的な正確さは、監修の弁護士に確認したうえでお伝えします。

この記事の結論(先にまとめ)

  • 削除代行業者とは、報酬を受け取って依頼者に代わり削除を求める、弁護士資格を持たない事業者です。できるのは任意の削除依頼までで、投稿者の特定や損害賠償の請求はできません。
  • 報酬を得る目的で他人の法律事務を業として扱うことは、弁護士法72条が禁じています。違反した場合の罰則は2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(同法77条3号)。
  • ウェブ上の記事削除を代行する契約について、弁護士法72条に違反して無効とし、支払った代金の返還を認めた裁判例があります(東京地方裁判所 平成29年2月20日判決)。
  • 依頼した側が処罰されることはありません。すでに払ってしまった費用も、契約が無効であれば返還を求められる余地があります。
  • 費用をかけずに相談したい場合は、総務省の委託事業として運営される違法・有害情報相談センターに無料で相談できます。投稿者の特定や賠償請求まで求めるなら、総務省の侵害情報調査専門員でもある弁護士が在籍する青山北町法律事務所などが相談先の一つになります。
書き込みを消したいときの依頼先4つの比較(各機関の公表情報・裁判例に基づく参考整理)
比較する観点 自分で削除依頼 削除代行業者 公的な相談窓口 弁護士に依頼
費用 無料 業者が提示する料金 無料 削除・開示ごとに費用
やってもらえること —(自分で申請) 運営への削除依頼の代行 手順の助言・情報提供 任意交渉から仮処分まで
投稿者の特定 できない できない できない(助言のみ) 発信者情報開示で特定を目指せる
損害賠償・刑事対応 できない できない できない 請求・告訴まで対応
法的リスク 低い(手間がかかる) 非弁行為に当たるとされた裁判例あり 低い 低い

削除代行業者とは|何をしてくれて、何ができないのか

削除代行業者とは、報酬を受け取って、依頼者に代わり掲示板やサイトの運営者へ書き込みの削除を求める、弁護士資格を持たない事業者です。できるのは運営への任意の削除依頼までで、投稿者の特定や慰謝料の請求はできません。

「削除代行」「風評被害対策」「逆SEO」など、名乗り方はさまざまです。ただ、契約の中身をたどると、やっていることは意外と絞られます。まずはそこから確認しましょう。

業者が実際にしていること

削除代行業者の中心的な業務は、掲示板やサイトが用意している削除依頼フォーム・通報フォームから、依頼者に代わって削除を求めることです。つまり、本人が自分で無料でできる手続きを、代わりに行っています。

ここに、検索結果に表示されにくくする対策(いわゆる逆SEO)や、書き込みの監視サービスを組み合わせて提供する例もあります。監視や広報の助言そのものは、弁護士でなければできない仕事ではありません。線引きが問題になるのは、あくまで「削除を求める」部分です。

一方で、業者にはできないことがはっきりあります。誰が書いたのかを突き止める発信者情報開示の請求、慰謝料などの損害賠償請求、裁判所への削除の仮処分の申立て。これらはいずれも、弁護士でなければ代理できません。

料金の形は大きく3タイプ

各社が公表している料金の形を整理すると、次の3つに分かれます。金額そのものは業者ごとに幅があり、公式サイトに明示していない例も少なくありません。

削除代行サービスの料金体系の類型(各社公表情報からの整理)
タイプ 料金の考え方 注意したい点
成功報酬型 1件消えるごとに料金が発生する 「成功」の定義が契約書にない例がある。一時的に非表示になった場合の扱いを確認する
月額監視型 毎月定額で監視と削除依頼を継続する 解約の条件と最低契約期間の縛りを確認する。成果が出なくても月額は発生する
パッケージ型 着手金と一括料金をまとめて前払いする 着手金が返還されない条件になっていることがある
執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

相談先選びの観点でいうと、料金の形よりも「その業者に何を頼むのか」を先に決めるほうが大事です。消したいだけなのか、二度と書かれないようにしたいのか、誰が書いたのか知りたいのか。ここが定まっていないまま契約すると、できないことにお金を払ってしまいます。

なぜ削除代行が非弁行為になるのか(弁護士法72条)

削除代行が非弁行為とされるのは、弁護士法72条が、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務を業として扱うことを禁じているためです。削除請求は、権利侵害を前提に相手の義務を生じさせる法律事務に当たると判断されています。

「フォームに入力するだけなのに、なぜ違法になるのか」。ここが分かりにくいところなので、条文の要件から順に見ていきます。

72条が禁じている4つの要件

弁護士法72条は、弁護士・弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、訴訟事件その他一般の法律事件に関して、鑑定・代理・仲裁・和解その他の法律事務を扱うこと、またはその周旋を業とすることを禁じています。要件を分解すると次の4つです。

  • 主体。弁護士でも弁護士法人でもないこと。株式会社の削除代行業者はここに当てはまります。
  • 報酬を得る目的。金銭に限らず、物や接待も報酬に含まれます。実費の精算にとどまらない対価を受け取れば該当します。
  • 法律事件に関する法律事務。権利義務について争いや疑義があり、あるいは新たな権利義務を生じさせる案件を扱うこと。
  • 業とすること。反復・継続する意思をもって行うこと。ホームページで集客して事業として行っていれば、まず該当します。

違反した場合の罰則は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(弁護士法77条3号)。会社の従業員が業務として行った場合、法人にも300万円以下の罰金が科されます(同法78条2項)。

判例

弁護士法72条は、報酬目的で業として法律事務を扱うことを禁じる規定である

最高裁判所大法廷 昭和46年7月14日 判決/昭和44(あ)1124/刑集25巻5号690頁

争点

弁護士でない者が他人の法律事務を扱った行為について、弁護士法72条本文がどこまでを禁じた規定なのか、その法意が争われました。

判断

最高裁は、72条本文は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、業として、同条が定める法律事務を取り扱い、またはその周旋をすることを禁止した規定である、という枠組みを示しました。資格を持たない者が自分の利益のために他人の法律事件へ立ち入ることを放置すれば、当事者や関係者の利益が損なわれるという考え方が背景にあります。

この事案が示すこと

72条は、依頼者を縛るための規定ではなく、依頼者を守るための規定です。「安く早く」をうたう業者に頼んだ結果、依頼者の利益が損なわれることを防ぐという趣旨が、判例の中で確認されています。

※本記事の判例は、当サイトが独自に収集・確認した事案から、読者の判断に関わるものを選んで紹介しています。

削除請求が「法律事務」に当たるとされた理由

削除代行で争点になるのは、3つ目の「法律事件に関する法律事務」です。ここについては、ウェブ上の記事の削除を代行する契約を弁護士法72条に違反して無効とし、依頼者が支払った代金の返還を認めた裁判例があります(東京地方裁判所 平成29年2月20日判決/判例タイムズ1451号237頁)。

この事案で業者側は、簡易な削除フォームから申請しただけだと主張しました。裁判所はこれを認めず、サイト運営者に削除を求める行為は、依頼者の人格権の侵害状態を取り除き、運営者に削除の義務を生じさせるものだと整理しました。つまり、入力作業が簡単かどうかではなく、その行為が法律上どういう効果を持つかで判断されています。

行政の側でも同じ整理がされています。法務省が2023年8月に公表した弁護士法72条に関する見解では、報酬を得る目的や一般の法律事件の解釈が個別の事実関係に基づいて判断されること、事務処理の人件費を賄う対価は実費とはいえず報酬に当たりうることが示されています(法務省大臣官房司法法制部「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」)。

削除代行業者に依頼すると起きる4つのリスク

削除代行業者への依頼で起きるのは、契約が無効になる・費用が戻らないおそれ・投稿者の特定に進めない・記録が消えて手遅れになる、という4つのリスクです。削除できたかどうかにかかわらず、あとから問題が残ります。

「違法だとしても、消えるなら別にいい」と考える方もいます。ただ、実際に困るのは、消えなかったときと、消えたあとに次の被害が来たときです。

契約が無効になり、成果も費用も残らない

弁護士法72条に違反する契約は、公の秩序に反するものとして無効とされます。無効ということは、業者に料金を請求する権利がないということです。裏を返せば、依頼者は成果も得られないまま、返金を求めるために別の労力を負うことになります。

先ほどの東京地裁の事案も、もともとは削除に失敗した業者に対して支払った報酬の返還を求めたものでした。「消えなかったから返してほしい」という当たり前の要求が、訴訟にまで至っています。

投稿者の特定・損害賠償に進めない

削除代行業者に依頼できるのは、削除を求めるところまでです。同じ人物が何度も書き込んでいる場合、削除だけを繰り返しても、根本は止まりません。

投稿者を特定するには、サイト運営者と経由プロバイダに段階を踏んで発信者情報の開示を求める必要があり、これは弁護士でなければ代理できません。途中で「やはり特定したい」となったとき、業者との契約は次の段階につながらず、そこまでに払った費用と時間が積み上がるだけになります。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

相談を受けていて胸が痛むのは、「業者で数か月粘って、そのあと弁護士に相談したときには記録が消えていた」というケースです。ご本人は何もサボっていません。むしろ必死に動いています。順番だけが違ってしまった。だから私は、費用の話より先に「時間の話」をするようにしています。

記録が消えて、特定そのものができなくなる

投稿者の特定に必要な通信記録(ログ)は、プロバイダが永久に保存しているわけではありません。一般には3〜6か月ほどで消えるといわれ、期間はプロバイダによって異なります。

削除代行業者とのやり取りで数か月を費やすと、その間に記録が失われ、特定の道が閉じてしまうことがあります。削除は後からでもやり直せますが、特定はやり直しがききません。ここが、手段を選ぶ順番として決定的に重要です。

不安をあおる営業と二次被害

「このまま放置すると取引先に見られます」「今なら間に合います」と急がせる営業を受けたという相談も届きます。書き込みを見つけた直後は判断力が落ちますし、誰にも相談できていない状態だと、電話口の相手だけが味方に見えてしまいます。

契約を急がされたときは

その場で契約しないでください。書き込みは、あと1日で状況が決定的に変わるものではありません。会社名・所在地・契約書の全文・料金の発生条件を書面かメールで受け取り、いったん持ち帰る。それだけで、避けられる被害があります。

実際に、非弁が刑事事件として立件される例もあります。2026年2月には、退職代行サービスの運営会社の代表者らが、利用者を特定の弁護士に有償で紹介していたとして弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕され、その後起訴されました。紹介を受けた側の弁護士法人の代表には、同年6月に東京地方裁判所で執行猶予付きの有罪判決が言い渡されています。運営会社側の判決は、本記事の公開時点ではまだ言い渡されていません。分野は違いますが、「グレーだと言われてきた代行サービス」が刑事事件になりうることを示した出来事です。

適法な支援と非弁の線引き|契約前のチェックリスト

適法な支援と非弁の分かれ目は、本人の意思をそのまま伝える使者にとどまるか、権利侵害を主張して相手と交渉するかです。報酬を受け取って交渉まで行えば、弁護士でない限り弁護士法72条に触れる可能性があります。

すべての事業者が違法というわけではありません。監視・記録・広報の助言など、弁護士でなくてもできる仕事はあります。問題は、どこから先が「法律事務」になるかです。

「使者」にとどまるか、「交渉」に踏み込むか

本人の意思をそのまま相手に伝えるだけなら使者です。しかし、相手方から拒否されたあとに、権利侵害を主張して削除を求めたり、条件を詰めたりすれば、それは交渉になります。交渉の代理は弁護士の仕事です。

この線引きについては、不動産の立ち退き交渉をめぐる最高裁の判断が参考になります。

判例

法的な紛議が生じるのがほぼ不可避な案件は「その他一般の法律事件」に当たる

最高裁判所第一小法廷 平成22年7月20日 決定/平成21(あ)1946/刑集64巻5号793頁

争点

弁護士資格のない者が、ビルの所有者から委託を受けて賃借人と交渉し、賃貸借契約を解除させて部屋を明け渡させた行為について、弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」に関するものといえるかが争われました。業者側は、権利義務に争いや疑義はなかったと主張しました。

判断

最高裁は、立ち退き合意が成立するか、時期はいつか、立ち退き料はいくらかをめぐって、交渉で解決しなければならない法的な紛議が生じることがほぼ不可避な案件だったとして、「その他一般の法律事件」に当たると判断しました。弁護士法72条違反の罪の成立を認めた原審の判断が是認され、上告は棄却されています。

この事案が示すこと

すでに争いが起きているかどうかではなく、これから争いが生じるのがほぼ避けられない案件かどうかで判断されています。削除請求も、相手が拒めば争いになる性質のものです。「まだもめていないから大丈夫」という説明は、線引きの根拠になりません。

契約前に確認したい5項目

相談先を選ぶときは、次の5つを確認してください。どれも、契約前に相手へ質問すれば答えが返ってくるはずの内容です。

  • 誰が削除を求めるのか。自分の名前で申請するのを手伝うのか、業者が代わりに求めるのか。後者なら弁護士法72条の問題が生じます。
  • 運営者に断られたあと、何をするのか。「交渉します」「粘り強く求めます」という説明が出てきたら、その業務は弁護士の領域です。
  • 投稿者の特定が必要になったとき、どう引き継ぐのか。自社では対応できないことを説明できる相手かどうかを見ます。
  • 弁護士の関与の中身。「弁護士監修」「提携弁護士あり」という表示が、実際に誰が受任するのかを示しているかを確認します。弁護士が非弁行為をする者から事件のあっせんを受けることは弁護士法27条で禁じられており、罰則もあります(同法77条1号)。
  • 料金が発生する条件。着手金の返還条件、成功の定義、解約の条件を書面で確認します。

「弁護士と提携」の表示に注意

業者が依頼者を弁護士に紹介し、その見返りに報酬を受け取る形は、非弁提携として問題になります。弁護士側も、事件のあっせんを受けたとして弁護士法27条違反に問われます。表示の有無ではなく、誰と契約し、誰が受任するのかを確認してください。

もう依頼してしまった場合の対処

削除代行業者に支払った費用は、契約が弁護士法72条違反で無効と判断されれば、不当利得として返還を求められる可能性があります。まず契約書・請求書・やり取りの記録を残したうえで、弁護士に相談するのが実際的な進め方です。

ここからは、すでに契約してしまった方向けです。先にお伝えしておくと、依頼した側が罰せられることはありません。弁護士法72条は業者を規制する規定で、依頼者を処罰する規定は置かれていません。

まず残しておく証拠

返金を求めるかどうかを決める前に、記録を確保します。業者との連絡が途絶えたあとで集めようとしても、消えているものが出てくるためです。

01

契約書・申込書・利用規約を保存する

紙でもメールでも、契約の条件が分かるものをすべて保存します。ウェブ上の規約は、日付が分かる形で画面を保存しておきます。

02

支払いの記録を集める

振込明細・カード明細・領収書など、いつ・いくら払ったかが分かるものをそろえます。金額と日付が、返還を求める範囲の土台になります。

03

やり取りの内容を保存する

メール・チャット・電話の記録を残します。業者が「運営と交渉します」「弁護士を紹介します」と説明していた場合、その文言自体が重要な意味を持ちます。

04

削除の状況を記録する

依頼した書き込みが実際に消えたのか、いつ消えたのか、また復活していないかを、画面を保存して確認します。

返金(不当利得返還請求)の進め方

契約が無効であれば、業者が受け取った代金は法律上の原因のない利益になります。そこで、不当利得の返還として支払った金額の返還を求めることになります。

ここで問題になりやすいのが、民法708条の不法原因給付です。違法な目的のために渡したお金は返してもらえない、という規定で、業者側から持ち出されることがあります。もっとも、先ほどの東京地裁の事案では、依頼者が弁護士法72条に違反する契約を結んだ点で不法原因に関わっているとしても、その不法な原因は専ら業者側にあるとして、この規定は適用されないと判断されました。依頼者は保護される側だという整理です。

不当利得の返還を求める権利には時効があります。一般には、権利を行使できることを知ったときから5年、権利を行使できるときから10年です(民法166条1項)。契約の時期によって適用される規定が変わる場合があるため、期間が気になるときは早めに弁護士へ確認してください。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

「自分が悪い契約をしてしまった」と感じて、返金の相談をためらう方がとても多いです。でも裁判所は、非弁の問題は業者側にあるという整理をしています。恥ずかしさで動けなくなるのがいちばんもったいない。まずは払った金額と日付を書き出すところからで大丈夫です。

費用倒れを避けるための判断

返金を求めるかどうかは、支払った金額と、取り戻すためにかかる費用・時間を並べて決めます。少額であれば、返金の交渉より、書き込みへの対応そのものを進めたほうが結果的に得になることもあります。

判断の目安は、次の3点です。支払額が回収の手間に見合うか。業者と連絡が取れる状態か。削除や特定という本来の目的が、まだ達成できていないか。3つ目に当てはまるなら、返金の交渉と並行して、本来の対応を弁護士に相談するのが現実的です。

お金を払う前に使える無料の窓口と、弁護士に切り替える基準

費用をかけずに相談したい場合は、総務省の委託事業として運営される違法・有害情報相談センターに無料で相談できます。対応は手順の助言と情報提供までで、代理交渉や投稿者の特定が必要な段階では弁護士への相談が必要になります。

「弁護士に頼むほどではない気がする」「でも自分だけでは分からない」。その間を埋める窓口があります。ここを知らないまま業者に払ってしまう方が多いので、先にお伝えします。

違法・有害情報相談センター(総務省委託事業)

違法・有害情報相談センターは、インターネット上の違法・有害情報について、削除の手順や相手を特定する方法の助言、関連情報の提供を行う相談窓口です。総務省の委託事業として運営されており、相談は無料です(違法・有害情報相談センター)。

できるのは助言と情報提供までで、センターが代わりに削除を求めたり、相手と交渉したりすることはありません。ただ、「自分のケースは削除を求められる内容なのか」「どの窓口にどう出せばいいのか」を整理する段階では、十分に役立ちます。

制度の背景を確認したいときは、総務省の解説ページもあわせて確認してください(総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応」)。2025年4月に、それまでのプロバイダ責任制限法が情報流通プラットフォーム対処法へと改正・改称され、大規模な事業者には削除対応の迅速化と運用の透明化が義務づけられました。

弁護士に切り替えるタイミング

次のどれかに当てはまるなら、無料の窓口や自分での申請ではなく、弁護士への相談に切り替える段階です。

  • 自分で削除依頼を出したが、運営に応じてもらえなかった。裁判所への仮処分という手段は、弁護士でなければ進められません。
  • 同じ相手から繰り返し書き込まれている。削除だけでは止まりません。特定と責任追及まで見据える段階です。
  • 誰が書いたのかを突き止めたい。発信者情報開示は代理できる人が限られ、かつ時間の制約があります。
  • 売上や採用など、事業への影響が出ている。損害賠償を視野に入れるなら、証拠の残し方から相談したほうが有利です。

掲示板ごとの具体的な削除手順と、自分で申請する場合の限界については、爆サイ削除の依頼方法ホスラブ削除の依頼方法で、手段ごとに費用と成功の見込みを比較しています。まず自分で動くか、最初から弁護士に任せるかを決める材料としてお使いください。

削除代行業者への依頼で迷っている方・依頼してしまった方へ

契約前でも契約後でも、状況の整理から相談できます。ネットの権利侵害に対応する青山北町法律事務所では、削除・投稿者の特定・支払った費用の扱いについての相談を受け付けています。

03-6427-4550 青山北町法律事務所(表参道駅 徒歩3分)|受付時間内にご連絡ください
書籍『守屋メソッドで選ぶ、言えないトラブルの相談先』表紙

執筆者の著書

守屋メソッドで選ぶ、言えないトラブルの相談先

守屋 葉子(著)

ネット中傷・詐欺被害・男女トラブルなど、誰にも相談しづらいトラブルについて、「どこに相談し、どう選ぶか」の判断基準をまとめた一冊です。

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よくある質問

Q削除代行業者に依頼した側も罪に問われますか?

削除代行業者に依頼した側が罪に問われることはありません。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として扱うことを禁じた規定で、依頼した人を処罰する定めは置かれていません。すでに依頼してしまった場合も、まず契約書と支払いの記録を保存し、対応を相談するところから始めれば大丈夫です。

Q削除代行業者に払ったお金は返ってきますか?

削除代行業者に支払った費用は、契約が弁護士法72条違反で無効と判断されれば、不当利得として返還を求められる可能性があります。ウェブ上の記事削除の代行契約を無効とし、代金の返還を認めた裁判例があります(東京地方裁判所 平成29年2月20日判決)。返還を求める権利には時効があるため、契約書・支払い明細・やり取りの記録をそろえて早めに弁護士へ相談してください。

Q「弁護士監修」「提携弁護士あり」の業者なら安心ですか?

「弁護士監修」「提携弁護士あり」という表示だけでは安心の材料になりません。業者が依頼者を弁護士に紹介して見返りを受け取る形は非弁提携として問題になり、あっせんを受けた弁護士も弁護士法27条違反に問われます。確認すべきは表示の有無ではなく、誰と契約し、実際に誰が受任するのかという点です。

Q弁護士に頼まずに、無料でできることはありますか?

無料でできることは2つあります。掲示板やサイトの削除依頼フォームから自分で申請することと、総務省の委託事業として運営される違法・有害情報相談センターに無料で相談することです。センターでは削除の手順や相手を特定する方法の助言を受けられます。代理交渉や投稿者の特定が必要な段階では、弁護士への相談が必要になります。

Q削除代行業者と弁護士では何が違いますか?

削除代行業者ができるのは運営者への任意の削除依頼までで、投稿者の特定や損害賠償の請求はできません。弁護士は、任意交渉に加えて裁判所への削除の仮処分、発信者情報開示による投稿者の特定、慰謝料請求までを一貫して進められます。総務省の侵害情報調査専門員である弁護士が在籍する青山北町法律事務所など、削除と開示の両方を扱う事務所が相談先の一つになります。

まとめ

削除代行業者への依頼は、弁護士法72条違反として契約が無効とされた裁判例があり、費用も成果も残らない可能性があります。無料で動くなら自分での申請と公的窓口、特定や賠償まで求めるなら弁護士へ。すでに払った費用は返還を求められる余地があります。

削除代行業者は、検索したときにいちばん目立つ場所にいます。急いでいるときに目に入るのだから、頼んでしまうのは自然なことです。責める必要はありません。

そのうえで、選び方だけは押さえてください。1件消したいだけなら、自分で削除依頼を出す。何から始めるか分からないなら、総務省の委託事業である違法・有害情報相談センターに無料で相談する。繰り返し書かれている、誰が書いたのか突き止めたい、事業に影響が出ている――そこまで来たら弁護士へ。総務省の侵害情報調査専門員が在籍する青山北町法律事務所(表参道駅 徒歩3分/03-6427-4550)のような相談先があります。

すでに業者に依頼してしまった方は、契約書と支払いの記録を残すところから始めてください。支払った費用は取り戻せる余地がありますし、何より、投稿者の特定に必要な記録は時間とともに消えていきます。一人で抱え込まず、早めに相談してください。

出典・参照した一次情報

情報の確認日:2026年7月28日|掲載の料金体系は各社公式発表に基づく参考整理です。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的なご事情については弁護士にご相談ください。

更新履歴
2026年7月28日:記事を公開しました。