詐欺の二次被害|「返金できます」と近づく相手の見分け方と安全な相談先

詐欺被害の二次被害対策|「返金できます」と近づく相手の4タイプと見分け方、安全な相談先の選び方を解説するインフォグラフィック
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本サイトは、青山北町法律事務所が運営しています。記事内で相談先の一つとして同事務所をご案内する場合があります。比較・評価は執筆者の独立した判断によるものです。詳しくは運営者情報をご覧ください。

結論詐欺の二次被害とは、詐欺に遭った人に「返金できます」「被害を取り戻せます」と近づき、調査費や着手金などの名目で再びお金を払わせる被害です。報酬を得て返金の交渉や請求を代わりに行えるのは弁護士だけで、振り込め詐欺救済法による返金も、振込先の金融機関に本人が申請する仕組みです。

「投資の被害を調べていたら『返金できます』という電話がかかってきて、本当に取り戻せるならと思ってしまう」。詐欺の被害に遭った直後は、差し出された手がどれも救いに見えます。それをつかもうとするのは弱さではなく、自然な反応です。

この記事では、「返金できます」と近づいてくる相手を4つのタイプに分け、それぞれが法的にできること・できないことと、依頼する前に確かめる項目を整理します。すでに払ってしまった方には、相手ごとの取り戻し方と期限、相談先までをお伝えします。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

私は法律の専門家ではなく、「どこに相談すればいいか分からない」まま抱え込んでしまう人のために、相談先の選び方をまとめている立場です。詐欺に遭った直後に「取り戻せます」と言ってくれる相手は、救いに見えます。だからこそ「つかんでしまった人を責めない」ことを前提に書きました。法的な正確さは、監修の弁護士に確認したうえでお伝えします。

この記事の結論(先にまとめ)

  • 詐欺の二次被害とは、詐欺に遭った人を狙い、調査費や着手金などの名目で再びお金を払わせる被害です。金融庁は2026年9月1日、「被害回復等を装った詐欺(二次被害トラブル)」として注意を呼びかけています。
  • 報酬を得て返金の交渉や請求を代わりに行えるのは弁護士だけです(弁護士法72条)。探偵業の届出は返金交渉の許可ではなく、資格のない者が被害金の返還を求めれば処罰の対象になると警察も注意を呼びかけています。
  • 弁護士の名前が出ていても安全とは限りません。事務員が弁護士の名義で被害の聞き取りから回収見込みの説明までを担っていた事案で、名義を使わせた弁護士に有罪判決が言い渡されています(東京地方裁判所 令和8年6月18日判決)。
  • 見分ける軸は受付の手段ではなく、委任や支払いの前に弁護士本人から説明を受けられるか、日弁連の弁護士情報検索の登録情報(事務所名・所在地・電話番号)と連絡先が一致するか、回収の見込みと費用倒れの説明が書面で示されるか、の3点です。
  • 払う前なら消費者ホットライン188や警察相談専用電話#9110に相談できます。返金の請求まで任せるなら、消費者詐欺分野の実務経験がある弁護士が在籍する青山北町法律事務所などが相談先の一つになります。
詐欺被害の返金を進める4つの手段の比較(各機関の公表情報・法令に基づく参考整理)
比較する観点 自分で手続する 返金・回収をうたう業者(探偵・代行など) 公的な相談窓口(188・#9110・法テラス) 弁護士
費用 郵送費などの実費のみ 業者が示す調査費・着手金など 相談は無料(通話料は自己負担)。法テラスは収入等の基準あり 相談料・着手金・報酬(事務所ごと)
できること 金融機関への被害の申出・分配金の申請、クーリング・オフなどの通知 探偵なら特定人の所在・行動の調査と報告まで 助言・あっせん、被害の相談、法律相談 交渉・訴訟・口座凍結の依頼
返金の交渉・請求の代理 本人として請求する できない(弁護士法72条) 代理はしない できる
振り込め詐欺救済法の口座凍結 振込先の金融機関に自分で申し出る 扱えない(凍結の依頼も法律事務とした判決あり) 警察への相談が金融機関への連絡のきっかけになる 依頼して進められる
注意点 期限を自分で管理する 資格のない返還請求は処罰の対象 相手に返金を強制する力はない 費用倒れの見込みを委任前に確認

依頼先を決める前に確かめたいことは、契約前に確認したい5項目にまとめています。

詐欺の二次被害とは|「返金できます」と近づく相手は何者か

詐欺の二次被害とは、詐欺に遭った人を狙って「返金できます」「調査すれば取り戻せます」と持ちかけ、手数料や調査費、着手金を払わせる被害です。被害者の名簿や検索結果を通じて近づいてくることがあり、ネット通販の返金を装う「返金詐欺」とは手口が異なります。

「返金」は、被害に遭った人がいちばん聞きたい言葉です。だからこそ二次被害の入口になります。まずは、どんな形で近づいてくるのかを確認しましょう。

「返金詐欺」と呼ばれるものは2種類ある

1つは、ネット通販で「欠品のため〇〇ペイで返金します」と連絡し、コード決済で送金させる手口です。国民生活センターは、指示に従わず画面共有もしないで、消費生活センターに相談するよう呼びかけています(国民生活センターの注意喚起)。

もう1つが、この記事で扱う、詐欺の被害者に「被害を回復できる」と持ちかけ、調査費や着手金といった新しい名目でお金を払わせる手口です。

被害者は探され、検索の先でも待たれている

千葉県警察は、詐欺被害者の名簿が業者の間に出回っていること、注意喚起の文章を大量に載せて検索から人を集め「無料相談」と称して問い合わせさせる例があることを挙げています(千葉県警察「悪質な探偵業者に注意」)。愛知県弁護士会も、解説が詳しい、公的機関へのリンクがある、というだけで信用しないよう求めています(愛知県弁護士会の注意喚起)。

注意喚起の多くは、投資詐欺やロマンス詐欺の被害者を念頭に置いています。

9,523件

SNS型投資詐欺の認知件数

1,288.0億円

SNS型投資詐欺の被害額

5,645件

SNS型ロマンス詐欺の認知件数

546.4億円

SNS型ロマンス詐欺の被害額

警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年6月5日公表)に基づく。二次被害の件数ではありません。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

相談を受けていて多いのは、「検索して最初に出てきた窓口に連絡した」という入り方です。取り戻したい気持ちが強いほど、相手が誰かを確かめる手順を飛ばしてしまいます。私がいつもお願いしているのは、名乗りではなく「誰が説明しているのか」を見ることです。

二次被害をかける相手は4タイプ|名乗り方と実際にできること

二次被害をかける相手は、返金代行・被害回復をうたう事業者、回収をうたう探偵・調査会社、弁護士の名義を掲げて判断と説明を事務員に任せる事務所、公的機関や弁護士のなりすましの4タイプです。名乗り方は違っても、弁護士本人が見込みを判断して説明していない点が共通しています。
二次被害をかける相手の4タイプ(公的機関・弁護士会の注意喚起と裁判例からの整理)
タイプ 近づき方・誘い文句(公表資料の例) できること・できないこと
返金代行・被害回復をうたう事業者 「被害を回復してあげる」と電話し、別の商品の購入や手数料を求める 報酬を得て返金を交渉・請求することはできない
回収をうたう探偵・調査会社 「必ず取り戻せる」「費用は相手側から回収できる」と調査契約を勧める 調査と報告まで。被害金の返還請求はできない
弁護士の名義を掲げ、判断と説明を事務員に任せる事務所 弁護士本人の説明がないまま委任と着手金を急がせる この運用で、名義を使わせた弁護士が有罪とされた判決がある
公的機関・弁護士のなりすまし 偽造した身分証の画像を示す、「国の救済制度で返金できる」と言う 名乗った機関・弁護士とは無関係

返金代行・被害回復をうたう事業者

金融庁は2026年9月1日、不動産特定共同事業法に関する注意喚起で、投資で損をした人に「被害を回復してあげる」と電話して別の投資商品の購入や手数料を求めるケースと、行政処分に便乗して解約・返金交渉の代行を条件に金銭を求めるケースを挙げました(金融庁の注意喚起)。

消費者庁にも、「国の救済制度により返金を受けられる」「返金手続を代行する」などと持ちかけられ、金銭を求められた相談が寄せられています(消費者庁の注意喚起)。返金の前にお金を求められたら、その時点で立ち止まってください。

回収をうたう探偵・調査会社

千葉県警察によると、投資詐欺の被害者に電話で探偵への調査依頼を勧め、「必ず被害金を取り戻せる」「調査費用や裁判費用は相手側から徴収し、回収できる」と説明して契約させ、回収できないまま追加費用を求める業者がいます。契約書には「企業調査」などと書いて返金に触れず、届く報告書は役に立たないものばかりで、弁護士との提携をうたう例もあります。

福岡県警察も、公安委員会への届出は「お墨付き」ではないと注意しています(福岡県警察の注意喚起)。探偵業者の“解決”勧誘に関する国民生活センターの公表資料は、占い詐欺サイトの弁護士相談の記事で紹介しています。

弁護士の名義を掲げ、判断と説明を事務員に任せる事務所

日本弁護士連合会は、広告で国際ロマンス詐欺などの依頼を誘う一部の事務所での不適切な事件処理を受け、依頼前に弁護士と面談して被害回復の可能性を尋ねるよう呼びかけています(日本弁護士連合会の案内)。

神奈川県弁護士会は、重要な場面で広告の弁護士本人が対応せず、登録上の連絡先と異なる電話番号で事務職員が応対し、弁護士自身による回収見込みの説明を経ないまま委任と着手金の支払いを急かす場合を、二次被害につながりやすいとしています(神奈川県弁護士会の注意喚起)。第一東京弁護士会にも、着手金を払った後に連絡がつかないという相談が多数寄せられています(第一東京弁護士会のお知らせ)。

ただし、事務員がいること自体は問題ではありません。東京地方裁判所 令和8年6月18日判決も、事務員を補助者とすることは当然許されるとし、その条件を、判断の核心部分を弁護士自身が行い、事務員の行為を実質的に支配していることとしています。

公的機関や弁護士のなりすまし

日本弁護士連合会は2026年3月、SNS上で弁護士になりすまし、偽造した身分証の画像で信じ込ませる手口を公表し、被害救済の名目で近づく場合もあるとしています。画像の弁護士が実在していても、SNS上のやり取りだけで本人と判断しないでください(日本弁護士連合会の注意喚起)。公的機関の名前が使われる例は、公的機関の名前でお金や口座情報を求められたらで整理しています。

公的機関や弁護士を名乗る相手から、お金や口座情報を求められたら

その場で払わず、口座番号も答えないでください。名乗った機関の代表番号や、日弁連の弁護士情報検索の登録上の電話番号に、自分からかけ直して確かめます。

なぜ弁護士以外は返金の交渉を引き受けられないのか(弁護士法72条と探偵業法)

弁護士以外が返金の交渉を引き受けられないのは、弁護士法72条が、弁護士でない者が報酬を得る目的で他人の法律事件について交渉や請求などの法律事務を業として扱うことを禁じているためです。探偵業の届出をしていても、この制限は外れません。

被害者本人が金融機関に被害を申し出たり、クーリング・オフを通知したりすることは、この制限とは関係ありません。問題は、資格のない第三者が報酬を得て代わりに行う場合です。

返金の交渉・請求は、弁護士だけに許された仕事

弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬目的で法律事件に関する鑑定・代理・和解などの法律事務を扱うことを業とするのを禁じ、違反には2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金を定めています(弁護士法77条3号)。愛知県弁護士会は、詐欺の加害者との交渉は弁護士にしかできない業務で、弁護士以外が解決をうたうこと自体に問題があるとしています。

72条の要件の分解は削除代行業者の非弁リスク、法律事務を扱う旨の標示を禁じる74条2項と「返金できます」という表示の関係は占い詐欺サイトの弁護士相談の記事で解説しています。

探偵業の届出は、返金交渉の許可ではない

探偵業務は、特定人の所在や行動の情報を聞込み・尾行・張込みなどで集め、依頼者に報告する業務です(探偵業の業務の適正化に関する法律2条1項)。営業の前日までに公安委員会へ届け出る必要があります(警察庁の解説)。

ただし同法6条は、この法律で他の法令が禁止・制限する行為ができるようになるわけではないと定めています。届出をしても、弁護士法72条が禁じる返金の交渉はできません。千葉県警察も、資格のない者が被害金の返還請求をすれば処罰の対象になるとしています。浮気調査で探偵に慰謝料の交渉を任せられないのも同じ理由で、浮気調査は探偵と弁護士どちらが先かの記事で整理しています。

被害の聞き取りから見込みの説明までが「鑑定」とされた判決

判例

被害の聞き取りから回収見込みの説明までを事務員が担い、名義を使わせた弁護士が有罪に

東京地方裁判所 刑事第1部 令和8年6月18日 判決/令和6年特(わ)第1836号

争点

弁護士が「詐欺被害金回収業務」を持ちかけられて別の事務所を開き、そこで事務員らが弁護士の氏名・肩書と事務所名を使って、依頼者5名から被害状況を聞き取り、詐欺に当たるかを判断し、回収見込みを伝え(それをもとに着手金額も提示)、4名について口座凍結を依頼しました。依頼者は弁護士と面談も電話もしていません。これが非弁護士による法律事務の取扱いに当たり、弁護士が名義を使わせたといえるかが争われました。

判断

裁判所は、聞き取りから回収見込みの説明までを一連の行為として弁護士法72条にいう「鑑定」に、口座凍結の依頼を「その他の法律事務」に当たるとしました。判断の核心部分を弁護士が行わず、事務員の行為を実質的に支配してもいなかったとして、事務員らに自分の名義を使わせた弁護士を懲役1年6月・執行猶予3年としました。

この事案が示すこと

弁護士の名前が出ていても、見込みを判断して伝えているのが誰かで安全性は変わります。委任と支払いの前に、見込みと費用の説明を弁護士本人から受けられるかが、最初に確かめられる基準です。

※本記事の判例は、当サイトが独自に収集・確認した事案から、読者の判断に関わるものを選んで紹介しています。

判決の認定では、着手金は125万4,000円、61万3,000円、49万5,000円などで、依頼者は事務員から「被害金を取り返せる可能性が高い」などと説明を受けて契約していました。判決はこれを「組織的、継続的に行われた非弁行為の一環」としています。名義を他人に使わせることを禁じる規定は占い詐欺サイトの弁護士相談で触れています。

振り込め詐欺救済法の返金は、自分で申請できる|公的機関の名をかたる勧誘の見分け方

振り込め詐欺救済法による返金は、警察や振込先の金融機関への連絡をきっかけに口座が止められ、預金保険機構の公告を経て、本人が振込先の金融機関に申請する仕組みです。預金保険機構の職員が電話や訪問で口座番号を聞くことも、法テラスがチャットでお金を請求することもありません。

「国の救済制度で返金を受けられる」は、二次被害の勧誘で使われる言葉です。

返金は、振込先の金融機関に本人が申請する

金融庁は、被害に遭ったら警察と振込先の金融機関に連絡するよう案内しており、SNS型投資・ロマンス詐欺も振込みで被害に遭えば対象です(金融庁の案内)。金融機関が口座の取引を止め(振り込め詐欺救済法3条)、預金保険機構の公告を経て(同法4条・5条)、支払の申請期間が30日以上設けられます(同法11条2項)。公告は預金保険機構の公告サイトで確認できます。

申請書は振込先の金融機関に出し、被害を申し出た人には金融機関から個別に申請期間が連絡されます。業者を間に入れる必要はありません。ただし、犯人が引き出していれば支払はなく、残高は被害者の間で按分され、止めた口座の残高が1,000円未満なら分配されません(同法8条3項)。支払までは半年以上かかるのが一般的です。犯人の財産が刑事裁判で没収された場合などは被害回復給付金支給制度もあります。

対象は「預金口座等への振込み」を使った詐欺などで(同法2条3項)、カード払いや電子マネー、暗号資産の送付は基本的に対象外です。暗号資産を買うために相手の口座へ振り込んだ場合のように振込みが使われていれば対象になりうるので、払い方を確かめてください。カードなどのルートは占い詐欺の返金方法で整理しています。

公的機関の名前でお金や口座情報を求められたら

預金保険機構は、職員が電話や訪問で取引銀行や口座番号を聞き出したり、カード・現金・通帳を預かったりすることは一切なく、一般の人へ電子メールを送ることもないと公表しています(預金保険機構の注意喚起)。法テラスも、チャットやトライアルの名目でお金を請求することはないとしています(法テラスの注意喚起)。

本物の手続かどうかは、お金の流れで見分けられる

救済法の分配金は、振込先の金融機関に本人が申請して受け取るもので、間に入る業者は要りません。返金の条件として別の商品の購入や手数料の支払いを求めるのは、金融庁や消費者庁が注意を呼びかけている手口です。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

「救済の制度があります」と言われると、相手が公的な立場に思えてしまうものです。でも私の実感では、本物の制度ほど、あなたにお金を求めて電話をかけてきません。救済法も消費生活センターも、こちらから連絡して使うもの。向こうから来た“救済”は、一度疑ってかまいません。

依頼先を見分ける確認項目|弁護士の実在は登録上の連絡先まで照合する

依頼先を見分けるには、委任や支払いの前に弁護士本人から回収の見込みと費用の説明を受けられるか、日弁連の弁護士情報検索の登録情報と連絡先が一致するか、費用倒れの可能性が書面で示されるかを確かめます。受付の手段ではなく、誰が判断して説明するかが軸です。

弁護士への依頼は正当なルートです。そのうえで、次の点を依頼前に確かめます。

日弁連の弁護士情報検索で、登録と連絡先を照合する

日本弁護士連合会の弁護士検索のページから、登録されているすべての弁護士を調べられます。

01

氏名・登録番号・所属弁護士会で検索する

日本弁護士連合会「弁護士情報検索」で、登録と所属弁護士会を確かめます。

02

登録上の所在地・電話番号と、案内された連絡先を見比べる

事務所名・所在地・電話番号が、広告や案内の連絡先と一致するかを見ます。神奈川県弁護士会もこの確認を案内しています。

03

送られてきた身分証の画像を本人確認に使わない

画像は加工できます。所属事務所のサイトで、関与を否定する公表がないかも確かめます。

04

委任の前に、弁護士本人と話す

東京地方裁判所 令和8年6月18日判決の事案では、弁護士でない者が弁護士を装って電話する「先生電話」がありました。不安があれば登録上の番号に自分からかけるか、面談を求めてください。

電話やメッセージで受け付ける事務所を疑う手順ではなく、正規の事務所なら応じられる確認です。なお、弁護士会照会(弁護士法23条の2)は受任した弁護士が使う制度で、実在の確認には使えません。確かめ方の基本は占い詐欺サイトの弁護士相談でも整理しています。

弁護士本人が、回収の見込みと費用倒れを説明するか

第一東京弁護士会は、国際ロマンス・投資詐欺は被害回復が極めて難しく、弁護士に依頼しても費用倒れになる可能性が高いとしています。同会は個々の弁護士の信頼性は評価しないとしたうえで、直接弁護士から説明を受けること、そのリスクを十分に説明しているかをポイントに挙げ、メッセージだけでは弁護士が返信しているのか分からないとも注意しています(第一東京弁護士会「国際ロマンス・投資詐欺のFAQ」)。弁護士の名前があっても、無条件に安全とはいえません。

判例

契約書の受任弁護士欄に弁護士の名前があっても、詐欺被害の相談・助言と委任契約の締結は事務員が担っていた

大阪地方裁判所 第12刑事部 令和6年11月18日 判決/令和6年(わ)第2256号

争点

弁護士でない者らが、令和4年12月から令和5年7月ごろまで、詐欺被害者17名の相談を受けて助言・指導し、示談交渉を受任する委任契約を結ぶなどして、着手金合計1,811万2,500円を受け取っていました。弁護士が、委任契約書の受任弁護士欄に自分の氏名を書かせるなどして名義を使わせたことが問われました。

判断

裁判所は、弁護士でない者らに自分の名義を使わせたとして、弁護士を懲役2年・執行猶予3年としました。量刑の理由では、別の事務所の多数の事務員による「組織的かつ大規模」な犯行で、「現に依頼者の利益を損ねてもいる」と指摘しています。

この事案が示すこと

契約書の弁護士名は、その弁護士が相談に乗り方針を決めていることの証明になりません。説明を受けた相手と、登録上の事務所・連絡先が一致するかで確かめてください。

見込みを言い切って急がせる相手には、弁護士の名前があっても立ち止まってください。東京地方裁判所 令和8年6月18日判決の事案でも、事務員は「早くすればするほど取り返すことができる」と説明していました。

探偵・調査会社なら、契約前の書面で調査の中身を確かめる

探偵業者は契約前に、業務の内容、対価の概算額と支払時期、解除に関する事項などを書面で説明しなければならず(探偵業法8条1項)、契約後も調査の内容・期間・方法や報告の方法・期限を書いた書面を渡す義務があります(同条2項)。違反は30万円以下の罰金の対象です(同法19条3号)。勧誘では回収をうたうのに書面には「企業調査」とだけある、というずれは、契約前に読めば気づけます。

契約前に確認したい5項目

相手が弁護士でも探偵でも、支払いの前に次の5つを確認してください。

  • 委任と支払いの前に、弁護士本人から説明を受けられるか。見込みを判断して話しているのが弁護士本人かを確かめます。
  • 登録情報と連絡先が一致するか。日弁連の弁護士情報検索の事務所名・所在地・電話番号と照合します。
  • 回収の見込みと費用倒れの説明が書面であるか。報酬の計算方法と、回収できなかった場合の扱いも確認します。
  • 「必ず取り戻せる」「費用は相手から取れる」と断言していないか。警察が悪質な探偵業者の説明として挙げる言葉です。
  • 返金の条件として、別の商品の購入や手数料の先払いを求めていないか。金融庁と消費者庁が注意喚起している手口です。

受付の方法より、誰が判断して説明するかを見る

電話・メール・メッセージアプリなど受付の方法はさまざまで、それ自体で良し悪しは決まりません。事務員が受付や連絡を担うのも通常のことです。弁護士会が問題としているのは、弁護士自身による回収見込みの説明を経ないまま、委任と支払いを急がせる運用です。

もう払ってしまった場合の対処|相手によって取り戻し方と期限が違う

もう払ってしまった場合の対処は、相手によって変わります。探偵や返金代行なら、訪問販売・電話勧誘販売に当たれば8日以内のクーリング・オフ、事実と異なる説明なら消費者契約法の取消しを検討し、弁護士なら委任契約の解消と着手金の精算を求めます。どれも早めに記録をそろえます。

先にお伝えすると、依頼した側が罰せられることはありません。弁護士法72条は弁護士でない者を規制する規定で、依頼した被害者を処罰する規定ではありません。

まず残しておく記録

01

契約書・説明の書面・利用規約

探偵業者なら探偵業法8条の書面の有無も確認します。

02

支払いの記録

明細をそろえ、契約日と書面を受け取った日も書き出します。期限の起点になります。

03

勧誘のときのやり取り

「必ず取り戻せる」などの言葉と、最初の電話がどちらからだったかを書き留めます。

04

受け取った報告書や資料

勧誘で説明された内容と比べる材料になります。

クーリング・オフが使える場合(訪問販売・電話勧誘販売)

探偵や返金代行との契約が特定商取引法の訪問販売や電話勧誘販売に当たれば、法定の書面を受け取ってから8日以内は、書面または電磁的記録で解除できます(特定商取引法9条・24条)。違約金はなく、調査が済んでいても対価は不要です。

電話勧誘販売には、ウェブページなどで勧誘のためと告げずに電話をかけさせ、その電話で勧誘して電話や郵便などで契約する形も含まれます(同法2条3項、同法施行令2条1号)。「無料相談」のページを見て電話したら調査契約を勧められた、という形は当たる場合があります。業者の事務所に出向いて契約した場合は当たらないことが多く、「必ず取り戻せる」と言われて契約したときの取消しを検討します。

弁護士が行う法律事務の提供には、これらの規定が適用されません(同法26条1項7号)。弁護士名義の事務所に払った場合は、弁護士名義の事務所に着手金を払った場合を確認してください。

「必ず取り戻せる」と言われて契約したときの取消し

消費者契約法は、重要な事項について事実と違うことを告げられた場合(4条1項1号)や、将来受け取る金額など不確実な事項について断定的な判断を示された場合(同項2号)の取消しを定めています。「必ず取り戻せる」はこれに当たる可能性があります。取消しは、追認できる時から1年、契約から5年以内です(同法7条)。契約が72条違反で無効な場合の返還請求は、削除代行業者の非弁リスクで解説しています。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

払ってしまった方ほど、恥ずかしさで相談が遅れがちです。でも取消しやクーリング・オフには期限があるので、気持ちの整理より先に日付を書き出してほしいと私は思っています。払った日、金額、言われた言葉。この3つから始められます。

弁護士名義の事務所に着手金を払った場合

進展がないときは、依頼した弁護士本人と直接話し、何をしたのかと今後の見通しを確かめてください。第一東京弁護士会は、弁護士と直接話せず事務員だけが対応する場合や、説明に具体性がない場合は、今後も進展しない可能性があるとしています。

委任契約を解消して着手金の返還を求めることはできますが、すでにかかった費用の精算を求められることがあり、全額が戻るとは限りません。話し合いがまとまらなければ、その弁護士が所属する弁護士会の紛議調停を申し立てられます(出頭や合意の強制はできません)。懲戒請求などは着手金の返還を直接求める手続ではありません。所属弁護士会は日弁連の弁護士情報検索で確かめられます。

無料で使える相談窓口と、弁護士に切り替える基準

無料で使える相談窓口は、消費者ホットライン188につながる消費生活センター、警察相談専用電話の#9110、収入などの条件を満たす場合の法テラスです。業者との交渉や返金の請求を代理で任せる段階になったら、弁護士への相談に切り替えます。

消費生活センター・警察・法テラスの使い分け

188は最寄りの消費生活センターなどを案内する番号で、相談は無料、通話料は自己負担です(消費者庁)。#9110は管轄の警察の相談窓口につながり、受付は平日8時30分から17時15分が基本です(政府広報オンライン)。振り込んだ直後なら、警察と振込先の金融機関にすぐ連絡してください。

法テラスは、収入と資産が一定以下の人を対象に、同じ問題につき3回までの無料法律相談と、弁護士費用の立替を行っています(法テラス)。窓口は法テラス・サポートダイヤルです。

弁護士に相談を切り替えるタイミング

  • 振込先の口座が分かっていて、凍結を急ぎたい。自分で金融機関に申し出ることもできますが、報酬を払って代わりに進めてもらえるのは弁護士です(東京地方裁判所 令和8年6月18日判決は、凍結の依頼を法律事務と判断)。
  • 業者に払った費用の返還を求めたい。取消しやクーリング・オフの期限内に動く必要があります。
  • 相手が交渉に応じない、連絡が途絶えた。代理での交渉や訴訟が必要です。
  • 被害額が大きく、回収見込みと費用倒れを比べたい。委任の前に弁護士本人から説明を受けてください。

決済手段ごとの返金ルートは占い詐欺の返金方法、依頼先の見分け方の7項目は占い詐欺サイトの弁護士相談で比較しています。

「返金できます」という連絡に迷っている方・すでに払ってしまった方へ

契約前でも、支払った後でも、状況の整理から相談できます。消費者詐欺分野の実務経験がある青山北町法律事務所では、返金の見込みと費用倒れの可能性を含めた相談を受け付けています。

03-6427-4550 青山北町法律事務所(表参道駅 徒歩3分)|受付時間内にご連絡ください
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執筆者の著書

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守屋 葉子(著)

ネット中傷・詐欺被害・男女トラブルなど、誰にも相談しづらいトラブルについて、「どこに相談し、どう選ぶか」の判断基準をまとめた一冊です。

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よくある質問

Q詐欺の二次被害とは何ですか?

詐欺の二次被害とは、一度詐欺に遭った人が、被害を取り戻せるとうたう相手に調査費・着手金・手数料などを払わされ、さらに損をする被害です。返金代行をうたう事業者、回収をうたう探偵・調査会社、弁護士の名義を使う事務所、公的機関や弁護士のなりすましの4つの形があります。

Q返金や回収をうたう探偵に頼めば、お金は戻ってきますか?

返金や回収をうたう探偵に依頼しても、探偵が相手と返金の交渉をすることはできません。探偵業法が定める探偵業務は特定人の所在や行動の調査と報告で、届出をしても弁護士法72条で禁じられた行為ができるようになるわけではありません。報酬を目的に資格のない者が被害金の返還を求めることは、処罰の対象になると警察も注意を呼びかけています。

Q弁護士の名前が出ている事務所なら、安心して依頼できますか?

弁護士の名前が出ている事務所でも、それだけで安心とはいえません。事務員が弁護士の名義を使い、被害の聞き取りから回収見込みの説明までを担っていた事案では、名義を使わせた弁護士に有罪判決が出ています(東京地方裁判所 令和8年6月18日判決)。依頼の前に、弁護士本人から見込みと費用の説明を受けられるかを確かめてください。

Q相談している弁護士が本物かどうか、どう確かめればよいですか?

相談している弁護士が本物かどうかは、日本弁護士連合会の弁護士情報検索で、氏名・登録番号・所属弁護士会を照合して確かめられます。そのうえで、検索結果に載っている事務所の住所や電話番号が、広告や案内で示された連絡先と一致するかまで確認してください。SNSで送られてきた身分証の画像は、本人確認になりません。

Q返金代行や探偵に払ってしまったお金は取り戻せますか?

返金代行や探偵に払ってしまったお金は、勧誘の形や説明の内容によって取り戻せる場合があります。電話勧誘販売などに当たれば書面の受領から8日以内のクーリング・オフ、「必ず取り戻せる」など事実と異なる説明で契約したなら消費者契約法による取消しを検討できます。消費者詐欺分野の実務経験がある弁護士が在籍する青山北町法律事務所などが相談先の一つになります。

Q弁護士に払った着手金は返してもらえますか?

弁護士に払った着手金は、委任契約を解消して返還を求めることができますが、すでにかかった費用の精算を求められることがあり、全額が戻るとは限りません。話し合いで解決しないときは、その弁護士が所属する弁護士会に紛議調停を申し立てる方法があります。所属弁護士会は日弁連の弁護士情報検索で確認できます。

まとめ

詐欺の二次被害は、相手の名乗りではなく、誰が判断して説明し、誰が受任するのかを確かめることで防ぎやすくなります。報酬を得て返金を交渉できるのは弁護士だけで、探偵の届出も公的機関の名前も安全の保証になりません。払う前なら188や#9110、払ってしまったら記録をそろえて期限内に相談してください。

詐欺の被害に遭った直後に「取り戻せます」と言われれば、すがりたくなるのは自然なことです。責める必要はありません。

そのうえで、選び方だけは押さえてください。何から始めるか分からないなら、消費者ホットライン188。振り込んだ直後で口座を止めたいなら、#9110と振込先の金融機関。回収の見込みを確かめて請求まで任せたいなら、日弁連の登録と連絡先を照合したうえで弁護士へ。消費者詐欺分野で業者と対峙してきた弁護士が在籍する青山北町法律事務所(表参道駅 徒歩3分/03-6427-4550)のような相談先があります。

すでに払ってしまった方は、相手が探偵や返金代行なら取消しやクーリング・オフの期限を、弁護士名義の事務所なら委任契約の解消と所属弁護士会の紛議調停を確認してください。どちらも、記録を残すところから始まります。一人で抱え込まず、早めに相談してください。

出典・参照した一次情報

情報の確認日:2026年10月8日|掲載の数値・制度は各機関の公表資料に基づく参考整理です。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的なご事情については弁護士にご相談ください。

更新履歴
2026年10月8日:記事を公開しました。