浮気調査は探偵と弁護士どちらが先?自分で集める場合も含め3手段比較

男女トラブルの浮気調査は探偵と弁護士どちらが先か|自分で集める・探偵に直接頼む・弁護士に相談してから調査する3手段の選び方を解説するインフォグラフィック
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本サイトは、青山北町法律事務所が運営しています。この記事は浮気の証拠を集める手段を比べる内容で、同事務所も相談先の一つとして登場します。記事の監修者は同事務所の弁護士です。調査が要らない場面や、同事務所に頼む場合の注意点も省かずに書いています。比較・評価は執筆者の判断によるものです。詳しくは運営者情報をご覧ください。

結論浮気調査で探偵と弁護士のどちらに先に相談するかは、集めた証拠を何に使うかで決まります。慰謝料の請求や離婚を考えているなら、先に弁護士へ相談して手元の材料で足りるかを確かめ、足りない部分だけを調査する順番が、費用と違法収集のリスクを抑えやすい進め方です。

「探偵に頼むべきか、先に弁護士に行くべきか。調べるほど、探偵社のページは探偵を、法律事務所のページは弁護士を勧めてくる」。配偶者の浮気を疑い始めた段階では、相談先を選ぶこと自体が重い作業になります。

この記事では、自分で集める、探偵に直接頼む、弁護士に相談してから調査する、の3つの手段を同じ物差しで比べます。そのうえで、自分で集めるときに越えてはいけない線、探偵にできないこと、調査費用を相手に請求できるかまでを整理します。慰謝料の金額は不倫慰謝料の相場、相手方から出てくる反論は不倫慰謝料を請求されたらで扱っています。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

私は法律の専門家ではなく、相談先の選び方をまとめている立場です。この分野は、探偵社も法律事務所も自分の業種を勧める記事が多く、比べる軸がそろっていません。本サイトの運営者も調査の相談を受け付けているので、あえて「調査が要らない場面」と「どの相談先にも残る注意点」から書きました。法的な正確さは、監修の弁護士に確認したうえでお伝えします。

この記事の結論(先にまとめ)

  • 相談の順番は、証拠を何に使うかで決まります。慰謝料の請求や離婚まで考えるなら、調査の前に弁護士へ手元の材料を見せるのが基本です。事実を知ることだけが目的なら、探偵への相談から始める選択もあります。
  • 探偵ができるのは、尾行や張込みなどで行動を調べて報告するところまでです。本人に代わって報酬を得て慰謝料の交渉や示談をできるのは原則として弁護士で、請求額が140万円以下なら認定司法書士も扱えます。探偵業の届出をしても、この制限は外れません。
  • 自分で集めるときは、配偶者の承諾のない位置情報の取得(ストーカー規制法)、配偶者のIDやパスワードを使ったログイン(不正アクセス禁止法)、別居先などへの立入り(刑法130条)を避けてください。
  • 探偵に払った調査費用を相手に請求できるかは、裁判で判断が分かれます。認められても一部にとどまることが多く、全額が認められた例は少ないため、戻らない前提で上限を決めておくのが安全です。
  • 弁護士が調査の要否を判断し、提携先の調査会社と連携して浮気調査の相談を受け付ける形をとる法律事務所もあります。本サイトを運営する青山北町法律事務所(表参道駅 徒歩3分)もその一つです。
浮気の証拠を集める3つの手段の比較(法令・公的機関の公表情報に基づく参考整理)
比較する観点 自分で集める 探偵に直接頼む 弁護士に相談してから調査する(弁護士が要否・範囲を判断し、調査は探偵業者が行う)
証拠としての力 手元のやり取りや本人の説明で足りることもある。足りるかどうかを自分では判断しにくい 尾行・張込みの記録と写真。何を撮れば足りるかは依頼者が伝える必要がある 足りない部分を特定してから調査に進む。調査が不要と判断されることもある
費用の考え方 実費のみ 時間制・パック・成功報酬などの料金体系。概算額と解除の条件は契約前の書面で確認 法律相談料に加え、調査する場合は調査費用。外部の調査会社に頼むなら支払先は2か所、連携先に頼むなら窓口は1か所
配偶者に気づかれるリスク 高い(同じ家の中で動くため) 調査の方法次第 調査の方法次第
その後の交渉への接続 本人として交渉・請求する 探偵は代理で交渉できない。交渉を任せるなら別に弁護士を探す 相談した弁護士にそのまま依頼できる
違法収集のリスク 高い(位置情報・ログイン・立入り) 探偵業法6条により、届出をしても他の法令で禁じられた方法は使えない 同左。集め方の適否を調査の前に弁護士に確認できる
調査費用を相手に請求できるか — 依頼の経路で差はない。調査前の状況(否認の有無・手元の証拠・相手の特定の可否)と、調査の範囲・金額で判断される 依頼の経路で差はない。調査前の状況(否認の有無・手元の証拠・相手の特定の可否)と、調査の範囲・金額で判断される
短所 違法な方法に踏み込みやすい。配偶者に気づかれると証拠を消されやすい 要否の判断を調査する側に委ねることになる。交渉は別に手配が要る 相談料と調査費用の両方がかかる。調査開始まで時間がかかることがある。連携先に頼む場合、判断する側と調査する側が提携関係にある

相談先を決める前に確かめたいことは、最初の相談で確かめる4つの質問にまとめています。

浮気調査は探偵と弁護士のどちらから相談するか|証拠を何に使うかで順番が決まる

浮気調査の相談先は、証拠を何に使うかで決まります。探偵は尾行や張込みで行動を調べて報告するところまでで、本人に代わって慰謝料の交渉や示談を扱えるのは原則として弁護士です。請求や離婚まで考えるなら、調査の前に弁護士へ相談するのが基本の順番です。

探偵と弁護士は、どちらが上という関係ではありません。引き受ける仕事の範囲がそもそも違います。まずはその境界を確認しましょう。

探偵ができること、弁護士ができること

探偵業務は、依頼を受けて特定の人の所在や行動についての情報を、聞込み・尾行・張込みなどの方法で実地に調べ、その結果を依頼者に報告する業務です(探偵業の業務の適正化に関する法律2条1項)。営業するには、営業所ごとに公安委員会への届出が必要です(同法4条1項)。

弁護士は、依頼を受けて交渉・調停・訴訟などの法律事務を行います(弁護士法3条1項)。警察庁は、弁護士活動について、特定人の所在や行動についての情報を収集することの依頼を受けているとはいえないものとして、探偵業法の適用から外れると説明しています(警察庁「探偵業について」)。

役割を一言でまとめると、探偵は「行動を記録して報告する人」、弁護士は「集まった材料で何が言えるかを判断し、代理人として動く人」です。

何があれば証拠として足りるのか

慰謝料の請求で問題になる不貞行為は、配偶者以外の人との性的な関係です。そのため、親密さを示すだけの材料と、性的な関係をうかがわせる材料とでは、証拠としての重みが違います。

浮気の証拠になりうるものの目安(一般的な整理。個別の評価は弁護士に確認)
区分 例 見られ方
性的な関係をうかがわせるもの ホテルなどへの出入りの記録、性的な関係を前提にしたやり取り、本人が関係を認めた書面や録音 他の材料と合わせて、不貞行為の立証の中心になりやすい
親密さを示すにとどまるもの 食事や外出の写真、好意を伝えるメッセージ、頻繁な連絡の履歴 それだけでは足りないとされることがある。他の材料を補う役割
相手の特定に使うもの 相手の氏名、連絡先、勤務先、車のナンバー 請求の相手を決めるために必要。立証とは別の役割

手元の材料がどの区分に入るかは、自分だけでは判断しにくいところです。足りない部分が「関係の立証」なのか「相手の特定」なのかで、調査が必要かどうかも、調べる範囲も変わります。

弁護士から相談したい場面、探偵から始めてよい場面

慰謝料の請求や離婚に使うつもりなら、弁護士への相談を先にする意味がはっきりあります。裁判で調査費用が損害として認められなかった事案には、調査の前から有力な証拠が手元にあった、配偶者がすでに認めていた、といった事情が見られるためです。

  • 配偶者がすでに関係を認めている。認めた内容を書面や録音で残せば足りる場合があります。
  • 手元にやり取りの記録がある。性的な関係をうかがわせる内容かを先に見てもらいます。
  • 別居してから時間がたっている。別居後の関係は、婚姻関係がすでに破綻していたとして慰謝料の対象にならない場合があります(婚姻関係の破綻と支払義務)。
  • 相手の氏名や住所だけが分からない。調べる範囲を相手の特定に絞れる可能性があります。

一方、請求までは考えておらず、事実を知ることが目的なら、探偵への相談から始める選択もあります。その場合も、契約前の書面で調査の範囲と上限額を区切ってください。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

疑いの段階でつらいのは、確かめたい気持ちと、確かめた先が怖い気持ちが同居していることです。だからこそ「何のために集めるのか」を先に一行で書いてみてほしいと私は思っています。請求したいのか、話し合いの材料にしたいのか、知りたいだけなのか。それが決まると、相談する順番も自然に決まります。

浮気の証拠を集める3つの手段の比較|自分で集める・探偵に直接頼む・弁護士に相談してから調査する

浮気の証拠を集める手段は、自分で集める、探偵に直接頼む、弁護士に相談してから調査するの3つです。証拠としての力、費用の考え方、配偶者に気づかれるリスク、その後の交渉への接続、違法収集のリスクの5点で比べると、それぞれの向き不向きがはっきりします。

どの手段にも長所と短所があります。自分の状況に合うものを選ぶために、1つずつ確認しましょう。

自分で集める:費用はかからないが、集め方で責任を負う

自分に届いたメッセージ、自分が参加した会話の記録、家計の明細など、もともと自分が見られるものの範囲なら、問題になりにくい集め方です。家族で使っている端末でも、配偶者個人のアカウントやメッセージは別に扱われる点に注意してください。

短所は、どこまでなら許されるかの線を自分で引かなければならないことです。位置情報やログインに手を出すと、証拠が手に入っても別の責任を負うことになります。線の引き方は自分で証拠を集めるときに越えてはいけない線で整理しています。

探偵に直接頼む:記録は取れるが、要否と範囲を決めるのは自分

探偵に頼めば、尾行や張込みによる行動の記録と写真が手に入ります。料金は時間制、パック、成功報酬などの形があり、契約の前には、業務の内容、対価の概算額と支払時期、契約の解除に関する事項などを書面で説明する義務が探偵業者にあります(探偵業法8条1項)。書面の項目は不倫の相談を渋谷でするならの記事で一覧にしています。

気をつけたいのは、調査が必要かどうか、どこまで調べるかを、調査をする側と相談しながら決める形になる点です。東京都の消費生活相談の事例(2018年公表)には、夫の素行調査に5日間・60万円を前払いしたのに、届いた報告書は写真数枚だったという相談が載っています(東京くらしWEB)。

弁護士に相談してから調査する:外部に頼む形と、連携先に頼む形

この手段では、弁護士が手元の材料で何が言えるかを判断し、足りない部分があれば、その範囲だけを探偵業者が調べます。形は2つあります。

  • 外部の調査会社に頼む形:弁護士の判断をもとに、自分で選んだ調査会社と契約します。支払先は弁護士と調査会社の2か所になります。判断する人と調査する人が別なので、要否の判断に調査の売上の事情が入りにくい形です。
  • 法律事務所と連携する調査会社に頼む形:相談の窓口が1つで済み、調査の結果をそのまま交渉や訴訟に引き継ぎやすい形です。一方で、判断する側と調査する側が提携関係にあるため、調査で利益が出る構造は残ります。

要否を判断する人と調査を実施する人の関係が判断の甘さにつながる、という構造は、調査が要らない場面と、調査しても意味がない場面で詳しく扱っています。どちらの形でも、説明に納得できるまで質問してかまいません。

なお、弁護士は事件を受任すると、所属弁護士会を通じて公務所や団体に照会し、必要な事項の報告を求めることができます(弁護士法23条の2)。相手の連絡先などの手がかりから氏名や住所を確かめられる場合があり、相手の特定だけのために調査会社に頼む必要がなくなることもあります。ただし、相談の段階では使えず、照会先が回答しないこともあります。

弁護士に相談・依頼するときの費用の考え方

弁護士費用は、相談料、着手金、報酬金、実費に分かれるのが一般的です。着手金は結果にかかわらず発生し、報酬金は得られた結果に応じて発生します。金額は事務所ごとに違うため、委任の前に書面で確認してください。

見込める回収額より費用のほうが大きくなる「費用倒れ」の考え方は、不倫慰謝料を請求されたらの記事で、請求された側の立場から整理しています。請求する側でも、見込める金額と費用を並べて判断する点は同じです。

執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

相談を受けていて気がかりなのは、「証拠が欲しい一心で、気づいたら配偶者のアカウントにログインしていた」という話です。その一歩で、責める側と責められる側が入れ替わることがあります。どの手段を選ぶにしても、「ここから先はやらない」という線を先に決めておくことが、自分を守ることにつながります。

自分で浮気の証拠を集めるときに越えてはいけない線|位置情報・ログイン・住居

自分で浮気の証拠を集めるときに越えてはいけない線は、配偶者の承諾のない位置情報の取得、配偶者のIDやパスワードを使ったログイン、別居先や相手の住居への立入りです。ストーカー規制法、不正アクセス禁止法、刑法に触れるおそれがあり、証拠として使えても責任は別に残ります。

「夫婦なのだから」「浮気の証拠のためだから」は、どれも免罪符になりません。法律ごとに確認しましょう。

位置情報:配偶者の車へのGPSは刑事事件として争われてきた

ストーカー規制法は、相手の承諾を得ずに、その人が持つ物に位置情報を送信する装置を取り付けたり、その位置情報を取得したりする行為を「位置情報無承諾取得等」として規制しています。対象になるのは、恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的で行う場合です(ストーカー行為等の規制等に関する法律2条3項)。これを繰り返せば「ストーカー行為」として処罰の対象になり、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同法2条4項・18条)。

この規制は2021年8月26日から施行され、2025年12月30日からは紛失防止タグを使った位置情報の取得も加わりました(警察庁「ストーカー規制法が改正されました!」)。条文には、相手が配偶者であることを理由に対象から外す定めはありません。

判例

別居中の妻の車にGPS機器を取り付けた行為が、ストーカー規制法違反の罪で起訴され、最高裁まで争われた

最高裁判所 第一小法廷 令和2年7月30日 判決/平成30年(あ)第1528号/刑集74巻4号476頁

争点

被告人が、別居中の当時の妻が使う自動車にGPS機器をひそかに取り付け、その後多数回にわたって位置情報を探索して取得した行為が、当時の条文の「住居等の付近において見張り」に当たるかが争われました。

判断

最高裁は、「見張り」に当たるには、住居等の付近という一定の場所で相手の動静を観察する行為が必要だとして、該当しないとした原判決を是認し、検察官の上告を棄却しました。同様の事案で「見張り」に当たるとしていた福岡高等裁判所の判例は変更されています。

この事案が示すこと

配偶者に対するGPSの取付けは、実際に刑事事件として扱われています。その後、2021年の改正で位置情報の無承諾取得そのものが規制対象になり、現在の条文では「見張り」の対象にも「現に所在する場所」が含まれています。無断で取り付けないでください。

※本記事の判例は、当サイトが独自に収集・確認した事案から、読者の判断に関わるものを選んで紹介しています。

目的の要件に当たるかどうかは事案ごとに判断されます。ただ、要件に当たらない場合でも、無断で位置を追い続けることはプライバシーの侵害として損害賠償の対象になりえますし、取り付けるために他人の敷地に入れば住居侵入の問題も生じます。

スマホ・SNS:配偶者のIDとパスワードでログインしない

配偶者のIDとパスワードを入力して、ネットを通じて配偶者のメッセージアプリ、メール、クラウドなどにログインする行為は、不正アクセス禁止法が禁じる不正アクセス行為の形に当てはまります(不正アクセス行為の禁止等に関する法律2条4項1号・3条)。違反すると3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(同法11条)。

配偶者の端末に、本人に知らせずに監視用のアプリを入れる行為は、刑法168条の2(不正指令電磁的記録供用)の問題になりえます。配偶者の端末を無断で操作してメッセージを見る行為も、プライバシーの侵害として争われることがあります。

住居・郵便物・録音:入らない、開けない、置かない

別居後の配偶者の住まいや相手の家、その敷地に無断で入れば、住居侵入罪(刑法130条、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金)が問題になります。警視庁も、探偵について「調査対象者を見張るため、付近住民宅の敷地に許可なく入れば、住居侵入罪等が成立します」と説明しています(警視庁「探偵業の概要」)。封をしてある手紙を開ければ信書開封罪(刑法133条)の問題になります。

自分が参加した会話を録音することと、室内や車内に録音機を置いて自分がいない会話を録ることは別のものです。置いて録る方法は、安全側の線の外にあると考えてください。

安全側の線は「自分が受け取ったもの・自分が参加した会話」

配偶者のアカウント、配偶者の持ち物に付ける機器、自分がいない場所の会話は、その線の外にあります。線の外に手を伸ばしたくなったら、その前に弁護士に手元の材料を見せてください。

違法に集めた証拠は裁判で使えるのか

民事の裁判には、証拠として使えるかどうかを一般的に定めた規定がなく、違法に集めた証拠でも直ちに排除されるわけではありません。ただし東京高等裁判所 昭和52年7月15日判決(判例時報867号60頁)は、著しく反社会的な手段を用いて、人の精神的・肉体的自由を拘束するなどの人格権侵害を伴う方法で集められた証拠は、証拠として使えないとされてもやむを得ないとしています。

そして、裁判で使えるかどうかと、集めた行為の責任は別の話です。使えたとしても、集めた行為について刑事責任や損害賠償を問われることがあり、相手側から逆に請求する材料にされることもあります。

探偵ができないこと|慰謝料の交渉と「弁護士を紹介します」の見方

探偵ができないことは、報酬を得る目的で、業として、他人の慰謝料の交渉や示談を代理したり、事件を周旋したりすることです。弁護士法72条はこれを弁護士以外に禁じており、探偵業の届出をしても外れません。代理人として内容証明で請求することも同じです。

探偵の仕事は、調査の結果を報告するところで終わります。その先を引き受けると言われたときに確かめる点を整理します。

探偵業の届出は、特別な権限ではない

探偵業法6条は、この法律によって他の法令で禁止・制限されている行為ができるようになるわけではないと定めています。警視庁も、届出によって「探偵業務であることを理由に、特別な権限が与えられるものではありません」と説明しています。

弁護士法72条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件について代理や和解などの法律事務を扱うこと、またはその周旋をすることを業とすることを禁じています。違反には2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められています(同法77条)。本人が自分で相手と話し合うことは自由で、請求額が140万円以下の民事の紛争なら、法務大臣の認定を受けた司法書士も裁判外の和解を代理できます(司法書士法3条1項7号・2項)。72条の要件の詳しい分解は削除代行業者の非弁リスクの記事で扱っています。

「相手に連絡して慰謝料を払わせます」「示談まで任せてください」とうたう調査会社には、その時点で立ち止まってください。詐欺被害の回収をうたう探偵についての注意は、詐欺の二次被害の記事でも紹介しています。

紹介された弁護士に依頼する前に、見返りの有無を確かめる

調査会社から弁護士を紹介されること自体が、直ちに違法なわけではありません。分かれ目は、紹介に見返りが伴うかどうかです。

  • 調査会社の側:報酬を得る目的で、業として事件を弁護士に回すことは、弁護士法72条の「周旋」として禁じられています。
  • 弁護士の側:72条に違反する者から事件の周旋を受けることは弁護士法27条で禁じられています。日本弁護士連合会の弁護士職務基本規程も、違反の疑いがある者から依頼者の紹介を受けること(11条)や、依頼者の紹介を受けたことへの謝礼その他の対価を支払うこと(13条)を禁じています。

見返りは、紹介料や謝礼のような金銭に限りません。仕事を回し合う関係のように、実質的な利益のやり取りがあるかが問われます。紹介を受けたら、次の3点を確かめてください。

  • 紹介料・謝礼・仕事の回し合いなど、紹介に見返りがあるか。調査会社にも弁護士にも、遠慮なく聞いてかまいません。
  • 紹介された弁護士本人と直接話して、見通しの説明を受けられるか。調査会社の担当者を通した説明だけで委任しないでください。
  • 日弁連の登録と連絡先が一致するか。弁護士情報検索で、氏名・所属弁護士会・事務所の所在地と電話番号を照合できます。

契約前の書面と標識は、自分の目で確かめる

探偵業者は、契約の前に重要な事項を書面で説明し、契約の後に契約内容の書面を渡さなければなりません(探偵業法8条1項・2項)。依頼者の側も、調査の結果を違法な行為に使わない旨の書面を探偵業者に渡します(同法7条)。届出をしたことを示す標識は、営業所に掲示するほか、規模の小さい事業者を除いてウェブサイトにも載せる決まりです(同法12条2項)。千葉県警察は、2024年4月1日から届出証明書が廃止され、標識の掲示とウェブ掲載に切り替わったと案内しています(千葉県警察)。

書面を確かめる意味は、行政処分の統計からも読み取れます。警察庁によると、令和7年中に探偵業者に出された指示は19件で、そのうち4件が書面交付に関する違反でした(警察庁「令和7年中における探偵業の概況」、2026年10月13日確認)。処分の件数は、問題が表に出た数です。書面がそろっているかは、契約の前に自分で確かめてください。

浮気調査の費用は相手に請求できるか|裁判で見られる事情

浮気調査の費用を相手に請求できるかは、公表されている裁判例をみる限り、事案によって判断が分かれます。調査しなければ立証や相手の特定が難しかった場合に一部が認められる例がある一方、証拠集めの方法は本人の選択だとして認めない例もあり、全額が認められた例は少数です。

調査費用は、慰謝料とは別の損害として主張するものです。裁判でどんな事情が見られるのかを確認しましょう。

調査費用が損害と認められるための条件

不貞行為の慰謝料は、他人の権利や法律上保護される利益を侵害したことへの損害賠償です(民法709条・710条)。調査費用を同じ請求に含めるには、不貞行為と相当因果関係のある損害、つまり不貞行為から通常生じる損害といえるか、特別な事情による損害なら相手が予見できたといえるかが問われます。

証拠を集める費用は、どの方法で集めるかを請求する側が選べるため、この条件を満たしにくい面があります。慰謝料の金額そのものの考え方は不倫慰謝料の相場で扱っています。

認められやすい事情と、否定されやすい事情

法律事務所などが紹介している公表裁判例をみると、全額が認められた例もある一方で、調査の必要性、調べた範囲、金額の相当性を理由に、一部にとどまる例や認められない例が多くみられます。判断は裁判官によっても分かれるため、次の表は目安として読んでください。

調査費用の請求で見られやすい事情(公表されている裁判例の紹介に基づく参考整理)
観点 認められる方向に働きやすい事情 否定される方向に働きやすい事情
調査前の状況 配偶者や相手が関係を否定していた 配偶者がすでに関係を認めていた
手元の証拠 他に有力な証拠がなかった やり取りの記録など、有力な証拠が手元にあった
相手の特定 相手の氏名や住所が分からなかった 調査しなくても相手を特定できた
調査の範囲と金額 期間が短く、金額も高すぎない 必要な事実が分かった後も調査を続けた、金額が高額
結果とのつながり 調査結果が立証に実際に使われた 調査結果と立証の結びつきが薄い

調査費用そのものは損害と認めないまま、多額の費用をかけて調べざるを得なかった事情を、慰謝料の額を決める一事情として考慮した裁判例もあります。また、話し合いで解決する場合は、当事者が合意すれば調査費用を含めた金額で決めることもできますが、相手が応じるとは限りません。

調査を頼む前に決めておくこと

  • 戻らなくても払える上限額。請求できる見込みは、調査を頼む前の状況に左右されやすいためです。
  • 何が分かれば調査を止めるか。関係の立証なのか、相手の特定なのかを決めておきます。
  • いつまでに請求するか。不法行為による損害賠償の請求権は、損害と加害者を知った時から3年で時効により消えます(民法724条1号)。時効の数え方は不倫慰謝料を請求されたらの記事で詳しく扱っています。
執筆者 守屋葉子

守屋 葉子相談先選びの専門家

公表されている裁判例を読み比べていて感じたのは、調査費用が戻るかどうかが、調査を頼む前の状況に左右されやすいということでした。だから私が調査の前に決めておきたいのは、戻らなくても払える上限額です。上限を決めることは弱気ではなく、調査を必要な範囲に絞るための道具です。

浮気調査の相談先の選び方|最初の相談で確かめる4つの質問

浮気調査を誰に相談するか迷ったら、まず弁護士に手元の材料を見せて、足りるかどうかと、足りない場合に何をどこまで調べるかを決めてもらいます。調査の要否を判断する人と調査をする人の関係も、相談先を選ぶときに確かめたい点です。

相談の時間は限られています。その場で聞くことを先に決めておくと、短い時間でも判断の材料がそろいます。

最初の相談で確かめる4つの質問

  • 手元の材料で不貞行為を立証できそうか。足りないなら、足りないのは関係の立証か、相手の特定か。
  • 調査するなら、何を・いつ・何日・いくらまでか。範囲と上限を言葉にしてもらいます。
  • 調査費用を相手に請求できる見込みはどの程度か。戻らない前提で判断できるかを確かめます。
  • 調査のあと、交渉や訴訟を誰が担うのか。紹介が絡む場合は、紹介に見返りがあるかも聞きます。

相談に持っていく時系列のメモや材料の一覧の作り方は、不倫の相談を渋谷でするならの記事でまとめています。

無料で使える公的な相談先

収入と資産が一定以下の人は、法テラスで同じ問題につき3回まで無料の法律相談を受けられます。各地の弁護士会も法律相談センターを設けています(日本弁護士連合会の法律相談センター検索)。探偵との契約トラブルは、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターにつながります(消費者庁)。

青山北町法律事務所(本サイトの運営者)という選択肢

本サイトを運営する青山北町法律事務所は、取扱分野に慰謝料請求や離婚とあわせて不倫調査を掲げています。浮気調査の相談は、同じ所在地の合同会社青山北町リサーチ(同社サイトの表示による探偵業の届出:東京都公安委員会 第30220124号)を提携先の調査会社として受け付けています(同事務所の取扱分野、同事務所のお知らせ、国税庁法人番号公表サイト、2026年10月13日確認)。弁護士が裁判での使われ方を見据えて調査の要否を判断する、という方針を同事務所は公表しています。

一方で、この形は連携先に頼む形に当たり、判断する側と調査する側が提携関係にある以上、調査で利益が出る構造は残ります。調査を勧められたときは、なぜ必要か、何が分かれば止めるのか、上限はいくらかを、納得できるまで質問してください。相談料や受付時間などの条件は、渋谷・表参道エリアの相談窓口の比較で他の窓口と並べています。

浮気を疑い始めた段階で、調査が必要かどうかから相談したい方へ

本サイトを運営する青山北町法律事務所では、手元の材料で足りるかどうかの見通しから相談を受け付けています。調査が必要と判断される場合は、提携先の調査会社と連携して対応しています(同事務所の公表内容に基づく/2026年10月13日確認)。

03-6427-4550 青山北町法律事務所(表参道駅 徒歩3分)|受付時間内にご連絡ください
書籍『守屋メソッドで選ぶ、言えないトラブルの相談先』表紙

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よくある質問

Q浮気調査は、探偵と弁護士のどちらから動けばよいですか?

浮気調査で探偵と弁護士のどちらから動くかは、集めた証拠を何に使うかで決めます。慰謝料の請求や離婚に使うなら、弁護士に手元の材料を見せて足りない部分を特定してから調査に進むほうが、無駄な調査と違法な集め方を避けやすくなります。事実を知ることだけが目的なら、探偵から始める選択もあります。

Q弁護士は浮気調査をどこまでしてくれますか?

弁護士が浮気調査として自ら尾行や張込みをすることは通常ありません。弁護士の役割は、手元の材料で不貞行為を立証できるかの判断と、受任後の弁護士会照会や交渉・訴訟です。実地の調査は探偵業者が行い、青山北町法律事務所のように提携先の調査会社と連携して相談を受け付ける法律事務所もあります。

Q浮気の証拠は自分で集めても大丈夫ですか?

浮気の証拠を自分で集めること自体は禁じられていませんが、方法によっては法律に触れます。自分が受け取ったメッセージや自分が参加した会話の記録は問題になりにくい一方、配偶者のIDとパスワードを使ったログイン、承諾のない位置情報の取得、別居先などへの立入りは避けてください。

Q配偶者の車にGPSを付けて浮気を調べるのは違法ですか?

配偶者の車に無断でGPSを付けて位置を調べる行為は、ストーカー規制法の規制対象になりえます。配偶者は対象から除外されておらず、別居中の妻の車にGPS機器を付けた行為が同法違反の罪で起訴された例もあります。繰り返せば処罰の対象になるため、無断で付けないでください。

Q探偵に払った浮気調査の費用は相手に請求できますか?

探偵に払った浮気調査の費用を相手に請求できるかは、裁判で判断が分かれます。調査しなければ立証や相手の特定が難しかった場合に一部が認められる例がある一方、有力な証拠がすでに手元にあった場合などは認められにくく、全額が認められた例は少数です。戻らない前提で上限を決めるのが安全です。

Q探偵に慰謝料の交渉まで頼めますか?

探偵に慰謝料の交渉や示談の代理を頼むことはできません。報酬を得る目的で業として他人の法律事件の交渉や和解を扱うことは、弁護士法72条で弁護士以外に禁じられています。本人が自分で交渉することはでき、請求額が140万円以下なら認定司法書士も代理できます。

Q探偵から弁護士を紹介されたら、そのまま依頼して大丈夫ですか?

探偵から弁護士を紹介されること自体は直ちに違法ではありませんが、紹介料・謝礼・仕事の回し合いなどの見返りがあるかは確かめてください。報酬目的で業として事件を周旋することは弁護士法72条で禁じられています。依頼の前に、弁護士本人と直接話して見通しの説明を受けてください。

まとめ

浮気調査は、探偵か弁護士かの二択ではなく、どの順番で誰に相談するかで結果が変わります。請求や離婚を考えるなら、先に弁護士に手元の材料を見せて調査の要否と範囲を決め、自分で集めるときは位置情報やログインなど法律に触れる方法を避けます。

自分で集める、探偵に直接頼む、弁護士に相談してから調査する。どの手段にも短所があり、全部を満たすものはありません。証拠を何に使うのかを先に決めれば、選ぶ手段は絞れます。

探偵ができるのは調査と報告までで、代理で慰謝料の交渉をすることはできません。調査会社から弁護士を紹介されたら、紹介に見返りがあるかと、弁護士本人から説明を受けられるかを確かめてください。調査費用は戻らない前提で上限を決め、時効にも気を配ります。

調査が必要かどうかから相談したいときの相談先の一つとして、提携先の調査会社と連携して浮気調査の相談を受け付けている青山北町法律事務所(表参道駅 徒歩3分/03-6427-4550)があります。疑いを一人で抱え込まず、順番を決めるところから始めてください。

出典・参照した一次情報

情報の確認日:2026年10月13日|掲載の法令・統計・各事業者の表示は、確認日時点の公表情報に基づく参考整理です。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的なご事情については弁護士にご相談ください。

更新履歴
2026年10月13日:記事を公開しました。